Hughes & Kettner tm 110

この狭く密集した首都圏の日本家屋において、ギターを楽しむにあたり最も大事なものとは。そう、キャビネットとアッテネーターです。※ラインは除く

爆音が出せない環境ではビンテージもリイシューも大差ありません。アッテネーターで原音を忠実に減衰させ、住宅環境とプレイスタイルに合ったキャビネットを用意する。いわばモニター環境を整えることでギター、アンプ、エフェクター、ピックアップ、配線、シールド、などなどの音をストイックに追求できるのであります。

 

んでいいキャビあります。Hughes & Kettner tm 110!

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まず10インチ1発。これが家では最高の選択です。12インチはスピーカーの選択肢も多く、出音の鋭さ、重厚さ、レンジ、どれをとってもエレキギターにドンピシャです。しかし、家で腹に響く重厚なローが出てはいけないのです。怒られます。12インチでローを抑えるぐらいなら10インチで存分に鳴らす方が気持ちいい音します。

 

キャビの作りもしっかりしてます。素材はmdfかなと思ってたけど違う。黒塗りされててよくわからないけどバーチっぽい。バッフルもmdfやパーティクルボードではなく単板。ボグナーやメサのような高級な材じゃないだろうけど、安っぽさは感じません。

構造もちょっと変わっていて、セミオープンなんだけれどバックボードがL字でスピーカーユニットを包むような形になってます。バズレフってやつでしょうか。この構造が小径、軽量の10インチスピーカーの弱点を見事にカバーしています。実際前面のみマイキングすると迫力皆無のペラッペラサウンド。背面マイク垂らし必須です。

 

続いては肝心のスピーカーユニット。celestion ten 30。お値打ち価格のメイドインチャイナです。しかしこれがまたスムーズで耳に痛くないリッチな音。95dbと控えめの能率も家向き。英国製のg10-35Lと比べてみたけど、1発で使うなら僕は断然tenです。35Lは解像度高くてかっこいい音するんだけどちょっとハイ上がりで線が細め。個体差かもだけど、2発で使うと丁度いいような印象です。どっちがお好きでしょうか?そのうち10インチ版グリーンバックも試してみたい🤤

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エレキギターってのは不思議なもんで、雑味が旨味みたいなところがあります。なんか知らんけど良い音するぞ?ってことだらけです。そんな領域で生産国を気にしても意味がないし、値段が高けりゃいいってもんじゃないです。嗜好と相性が全て。美味しんぼでカツオにマヨネーズつける回を思い出しますね。

 

そしてお値段。サウンドハウスで2万ちょい。安い。大丈夫なのか。この値段なら2段積みにするのもありですね。ちなみに2発以上で鳴らす場合、各スピーカーの能率とインピーダンスをキッチリ合わせると左右が綺麗に混ざって定位よく鳴ります。

 

というわけでこのtm110が如何に家ギターに適したキャビネットかを熱弁してみましたが、正直見た目はあんまり、っていうかケトナー自体があんまり好きじゃないです私。でもちょっと音出せば価格を抑えつつも工夫を凝らして丁寧に作られているのがよく分かります。そうすると不思議なもんで可愛く見えてきます。ただジャックと配線は貧弱。伸び代として捉えましょう。

 

おわり。